世代が違うと、絵の見え方も変わる。
多くの人が「不穏」と感じた作品を、20代の学生は「神秘的で美しい」と表現。
その一言で、作品の印象が一変しました。
対話型鑑賞は、他者の視点に出会う体験です。
サポーター(修了生)のレポートをご紹介します。
林賢。

■レポート
身近なアートコミュニケーター養成講座4日目
今日は男性1名、女性7名での講座。
前回の美術館での実践を経て、参加者同士の距離も縮まり、柔らかな雰囲気の中で4日目が始まりました。
まずはウォーミングアップとして、アートカードを使った「伝言ゲーム」。
・最初の人がアートカードを1枚選ぶ
・次の人へ 2つの言葉だけでイメージを伝える
・それを順番に伝えていく
この制限があることで
・どこに注目するか
・どんな言葉を選ぶか
・人それぞれの視点
がはっきり表れます。
最後は全員が「このカードだ」と思うものを指差します。
メモを使って伝言内容を残していたので、誰がどのように表現したのかも分かり、互いを知る良い時間になりました。
続いてVTS(対話型鑑賞)を実施。
今回は有名な作品を2枚鑑賞しました。

1枚目の絵を見たとき、平均年齢50代の私たちの多くは
・不穏
・何か悪いことの予兆
といった暗いイメージを抱きました。
ところが、20代の学生スタッフは
「神秘的でキレイ」
と発言。
理由を尋ねると
「私の故郷の夜はこんな感じです」
とのこと。
その言葉を聞いて絵を見直すと、
確かに静かな星空の夜のようにも見えてきます。
知識や経験が、
知らないうちに絵を見るフィルターになっている。
そのことに気づかされる瞬間でした。
2枚目はジャングルの中の不思議な情景。
・鬱蒼とした植物
・動物
・ソファーに横たわる女性
一見すると意味がつかみにくい作品です。
そんな中で学生スタッフが一言。
「熱がある時に見る夢みたい」
この言葉で場の空気が一変しました。
鮮やかな色彩
つながりのない存在
どこか居心地の悪い世界
確かに夢のように感じられてきます。
これまでの回では
・イメージの言語化
・問いの技術
といったテクニックに意識が向きがちでした。
しかし今回は
まっさらな気持ちで絵を見ること
の大切さを実感しました。
人は年齢を重ねるほど
知識や経験を積み重ねます。
それ自体は大切なことですが、
いつの間にか
自分のフィルター
を通して物事を見るようにもなります。
世代や価値観の違う人と対話することは、
そのフィルターに気づく大きなきっかけになります。
VTSの基本質問のひとつ
「どこからそう思った?」
この問いは、
アート鑑賞だけでなく
・日常の会話
・仕事
・人との関係
にも役立つ大切な問いだと感じた4日目でした。
文責:ツキオカマキコ
(第5期修了生 身近なアートコミュニケーター)
■まとめ
対話型鑑賞の魅力は、
「正解」を見つけることではなく、
新しい見方に出会うことにあります。
世代や経験が違うからこそ、
一枚の絵から生まれる世界は豊かになります。
その対話の中で、
私たちは少しずつ
自分の見方の枠を広げていくのかもしれません。
