東京国立近代美術館でのVTS実践から見えた「周囲への配慮
美術館では静かに見るもの?
それとも語り合うもの?
東京国立近代美術館で行った対話型鑑賞(VTS)の実践から、
作品を見る力と「周囲への配慮」の大切さが見えてきました。
サポーター(修了生)のレポートをご紹介します。
林賢。
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■レポート:
身近なアートコミュニケーター養成講座3日目
いい鑑賞をするためには欠かせない『周囲への配慮』
今回は実践編ということで、東京国立近代美術館でVTS演習。ただ、芸術の秋真っ只中で来館者が多いため、2〜3人のグループに分かれて各々が選んだ絵画1作品に対して15分程度対話を行い、最後に全員でディスカッションを行うこととなった。
VTS(Visual Thinking Strategies)を行う絵画は当日までに各自決めていたので、各グループは目的の絵画へ向かい、演習スタート。私とパートナーのYさんは、共に重要文化財に指定されている作品の前へ。講座ではアートポスターやプロジェクターの投影での鑑賞だが、さすがに本物を前にすると作品に見入ってしまい、なかなか言葉が出てこない。というより、「美術館では静かに鑑賞する」ことに慣れきってしまい、一人で黙々と鑑賞する癖がついているので、言葉どころか思うように声が出ない。自分がこんなに規範意識の高い人間だったとは驚いたが、習慣というのは恐ろしいものだと感じた。
タイトルや解説に目がいってしまい、鑑賞が知識に偏りがちになる上、来館者も多く、周囲には魅力的な絵画が展示されているので、素直に目の前の作品に没頭することができない。結果的に新しい発見や適切な問いを生む対話はあまり弾まず、Yさんには申し訳なく、自分としても満足のいくVTSは行えなかった。
鑑賞後のディスカッションでは、細かいところまで詳細に『見て、感じて、対話する』という講座の実践ができた人が多く、発表する表情がとても楽しそうだったのが印象的だった。
今回の講習で気づいたことは、公私のバランスの取り方。美術館は公共の場所であり、私にとっても自分の世界に没頭し、自分の想いを溜め込む場所だった。その反面、私的にAC(アートコミュニケーション)で他者とその想いを分かち合うことができた時の感動が大きいことも体験した。
今回、私の中でこの公私のバランスがうまく取れず、作品に没頭することができなかったが、それは周りの来館者にも当てはまる。ACを行っている場に居合わせて、「面白いことをやっている」と興味を持ってくれる人もいれば、「静かに鑑賞したいのに」と眉をひそめる人もきっといる。
講座ではアートコミュニケーター役の他に場の見守り兼時間管理役と記録、助言役を配置して行うが、サポート役がいない場では、その役割はほとんど意味をなさない。ただ今回、この2つの役割を配することで、アートコミュニケーターは安心して進行に集中できることが分かった。
『周囲への配慮』は、自他ともに物事を思う存分楽しむための必須要素だということを痛感した実践講習だった。
文責:ツキオカマキコ(第5期修了生 身近なアートコミュニケーター)
■まとめ
もしあなたが
「アートをもっと深く味わいたい」
「作品について人と語り合ってみたい」
「地域で対話の場をつくってみたい」
そう思ったなら、
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