講座1日目 イメージって伝えるのも受け取るのも難しい!
男性1人、女性9人の参加者は初顔合わせで若干緊張気味ながら、アート好きという共通項のためか、みなさん穏やかで落ち着いた雰囲気。用意されていた2つのテーブルに5人ずつ着席して講座開始。
アートカードを使っての自己紹介とジェスチャーゲームで、声を出し、体を動かして
ウォーミングアップをした後、いよいよ「対話型鑑賞」へ。
SAV(Social Art View)では片方のグループ5人がアイマスクをつけ、もう一つのグ
ループが絵のイメージを言葉で伝えながら絵を鑑賞する。聞く側、伝える側どちらに
も作者やタイトルなどは知らされないので、作品に関してはお互いに真っ白のまま対
話が始まる。
1枚目、私のテーブルで説明側に回ったのは、O氏の『ダイビング』。
見ている側には夏、プールで女性が高いところから飛び込みをしている瞬間を描いた絵だと直感的に分かるけれど、青空もプールも、それと分かるものは一つとして描かれていない。
「なんでそう思ったんだろう?」という自問から始まり、最初に伝えるべきは絵のサイズ感や縦横の比率か、それとも水着姿の女性の存在か、それとも全体の雰囲気をざっくりと……?
他の人の発言を聞きながら、「あ、本当だ」「表現が上手いな」と思いつつ、アイマスク組の質問にも的確に答えられないなど、とにかく頭をフル回転させているのに言葉が出てこない。
というより、何かを伝えようとすると、重要な何かが抜け落ちてしまう。アイマスクを外した人からは、「もっと遠景かと」や「横から見ている姿だと」という声があり、「あー、確かに」と思うことしき
り。

2枚目の『ブラックアースライジング』関連の作品鑑賞では、アイマスクをつけて鑑賞側に。
アイマスクをつけた世界は思っていた以上に真っ暗で真っ黒。「絵の上部1/3のところに水平線のような線があって」「上部は青い空に太陽か月のような丸いものが」「下2/3はカラフルな色で描かれている」という説明をもらって、イメージや色を置いてみるけれど、すぐに黒で覆われてしまう。
きっとアイマスクがなければ、伝えられたことを紙に描いたりしてイメージを定着できるのだが、黒い世界では何の手がかりも残せない。結局、ぼんやりした構図にカラフルらしき色を思い浮かべただけで、アイマスクを取ることに。情報を受け取ることに必死で、絵を楽しむどころの話ではない。きっと言葉をうまくイメージに変換させる方法があるんだろうなぁ。これは次回までの宿題だ。
続いてVTS(Visual Thinking Strategy)
・この作品の中で何が起こっていますか?
・どこからそう思いますか?
・他になにか気付いたことはありますか?
の3つの質問を基本に対話しながら鑑賞する。
1枚目のアンリ・マティスの「川辺の水浴者」は、どうしてもこの絵で何が起きているかを探す気が起きない。
他の人の意見も聞いて「なるほど」と思うものの、やはり心が動かない。
もし他の人も同じような印象を持っていたなら、いっそのこと「なぜこの絵に興味が持てないのか」という問いを持って絵を眺めるのも面白いと思った。
2枚目はモネの「日傘をさす女」。
こちらは風景や人物などが細かく描かれていて、観察しがいがあるので、対話も弾んだ。影の方向や雲の形、足元の草の様子などから時間や季節などを細かく推察するなど、みんな着目点が鋭く、自分が今までいかに大雑把に、ただ感覚のみで絵を鑑賞してきたかを痛感。
1枚の絵にこんなにたくさんの情報を詰め込むなんて、画家は欲張りだなぁと思いつつ、きちんとその情報に向かい合ったら、今度は画家と対話ができそうな気がした。

感性が合って、洞察力のある人たちと、大好きな美術館でVTSできたら楽しいだろう
なぁと妄想しながら、まずは自分の言語化能力を高めようと思った1日目だった。
文責:ツキオカマキコ(第5期修了生_身近なアートコミニュケーター)
