身近なAC講座 6日目 「“写真=真実?”を超えて ― 対話で読み解く写真の世界」

東京都写真美術館で行なったVTSは、写真作品を題材に小グループで対話型鑑賞を行った。

写真は現実を写すという印象が強いが、制作年やタイトルを手がかりに読み解くことで、作者の意図や時代背景への理解が深まることを実感した。

また、写真は臨場感が強く、鑑賞者の記憶や体験を呼び起こしやすいため、対話が自然と広がる。

今回の体験を通じて「わからないこと」が対話を生み、複数人で見ることで作品理解がより豊かになることを学んでいただいたようです。(林賢)。

6日目 一瞬にしてその時代の空気感がよみがえる写真は、対話型鑑賞にぴったり!?

今回は2回目のVTS演習。会場は東京都写真美術館である。
写真は身近な存在だが、改めて写真展に行く機会はあまりない。どのような鑑賞になるのか、少し不安を感じながらの現地集合となった。

今回も2〜3人の小グループに分かれ、小声で対話しながら鑑賞を進めた。

会場は5つのブースに分かれており、5人の作家の作品が展示されている。
それぞれのブースで気になる写真を1枚選び、VTS(対話型鑑賞)を行う。

しかし会場に入った瞬間、写真展ならではの“洗礼”を受けることになった。
作家の主張がむき出しで、とにかく生々しい。
戦争や震災など重いテーマもあり、絵画とは違って、身体の中に直接飛び込んでくるような衝撃がある。

まずは目と心を慣らすために、5つのブースを軽く見て回ってから鑑賞を始めた。

最初のブースでは、作品を見ているだけでは「うーん」という印象だった。
ところが制作年を見ると、
「これってコロナ明けの頃だよね」
「マスクをしていないと睨まれる雰囲気があったよね」
など、当時の空気感が一気によみがえり、思わず当時の記憶が口をついて出てきた。

やはり写真は臨場感が強い。

一方で、
「この人、カメラを見すぎていない?」
「少し違和感があるね」
という声も上がった。

タイトルを見ると、
「ああ、なるほど」と納得。

写真は「真実を写すもの」という意識が強いため、演出や加工に違和感を感じていたのだと気づいた。
しかし、作品としての写真には、当然ながら作者の意図や演出が含まれている。

そこで私たちは、写真鑑賞のマイルールとして

「年代・タイトル・作品の関係を見る」

という視点を意識してみた。

すると、

なぜこの構図なのか

なぜこの加工なのか

なぜこのタイトルなのか

といった問いが生まれ、作者の意図を想像することが楽しくなってきた。

3人で鑑賞することで、
一人では気づかない細部にも目が向く。

年齢も背景も異なる3人が、
1枚の写真を通して想いを語り、共感し合う。

その時間がとても嬉しく感じられた。

今回の写真鑑賞で強く感じたのは、

「わからないからこそ対話が生まれる」

ということだった。

わからないから問いが生まれる。
答えを探すために作品をよく見る。

しかも題材が身近であれば、記憶も呼び起こされ、体験に基づいた多様な対話が生まれる。

今回の展示が現代を写した作品だったこともあるかもしれない。
しかし改めて、写真は対話型鑑賞にとても向いているメディアではないかと感じた。

そんな発見のあった、講座6日目だった。

文責:
ツキオカ マキコ(第5期修了生 身近なアートコミュニケーター)