「見えること」から「見えないこと」に想いを馳せる

~アート鑑賞による対話カフェ実施~

 本番ソーシャルアートビューでアイマスクをつけて行うのも、持ち込みアートで「Show &Tell」のスタイルを行うのも、一般のカフェで行うのも初めての会でした。皆さんアートで対話することの醍醐味を感じてくれたようです。参加者、スタッフの皆様に感謝いたします。ありがとうございました。

カフェのプロジェクターで共有された持ち込みアートデータを対話鑑賞リードするファシリ役(左端)

 インターン生の「ふりかえり」とファシリテータの「コメント」

インターン生のSさん

美術史についての知識があると色々イメージがしやすい、とおっしゃっている方もいた。確かに知識がすでにある状態ではその通りだと感じます。しかし全くアート情報や知識がない状態でも、白紙の状態から新しく絵を描くのと同じようにイメージを一つづつ重ねていくことができ、対話のなかでどんどんそのイメージが変化していく様子が楽しめました。それはまた別の楽しみとして在るのではないかとも感じました。

ファシリテータのコメント(インターン生に向けて)

「見えること」から「見えないこと」に想いを馳せるためにも、初めての参加者に伴走してもらうために(全盲ナビゲータの難波さんとも相談して)初めてアイマスク付きのリアル鑑賞会をしました。ご苦労様でした。

難波さんとの企画ミーティングでは視覚障害者は最後まで「正解」のアートをみることができない。だから絵画《情報の交換》に終始するよりも、感想や《感情の交歓》に対話を移していったときのほうが楽しいと発言されています。また、ニューヨーク近代美術館(MoMA)のアビゲイル・ハウゼンは芸術鑑賞をするときの人々のパターンを以下の5つに分類しています。

<5 つ観察の仕方>

① 外形的な特徴(Physical properties)を知る。

② 主題(Subject)について考える。

③ 眼の錯覚を呼ぶような性質(illusionary properties)はないか。

④ 形態的特質(formal properties)はないか。

⑤ 見る側の視点(viewer perspectives)はど こにあるか。 (渡部晃子 2011「フィリップ・イェナウィンの教育とそのカリキュラム開発」pp.493-503より) 

VTS(主に晴眼者の対話型絵画鑑賞)でも SAV(障害のある方と共にみるアート鑑賞による対話)においても、主催者やファシリテー ターはイベントに参加する人達が今どの段階の鑑賞をしているだろうかということを意識して、鑑賞する絵画を選択、準備する必要があります。

そのためにはファシリテーターを行う人の役割として事前に選んだ絵画を自分なりに、構造分析し、要素分解(FactとTruth、客観視と主観視)をしておく必要があります。これまでのSAV活動の中では、5つ観察の仕方や美的鑑賞の発達パターンを鑑賞による対話をする際の情景をおもいうかべ、接し方のステップを毎年度 3 つの段階(準備、共感、本番)を設定して企画・実践をしてきました。

今回のSAVは「Show&Tell」の形式で参加者の持ち込みアートで鑑賞対話をおこなったので、事前の絵画研究ができなかったり、鑑賞段階を進行しながら参加者のプロフィールを想像していく感じで(どれほどアートが好きな方か?なぜこの作品を選んでこられたか?等)ファシリテーターを行っていたつもりです。皆さん(インターン生)の伴走が初めての参加者に寄り添ってくれていて、とても楽しい絵画鑑賞による対話ができたと思います。ありがとうございました。

■2022年1月16日(日)午前中、吉祥寺西友1階のカフェ nomunoにて、本当に久しぶりにリアルなSAV(ソーシャルアートビュー)を開催。

■Show &Tellのスタイル➡持ち込みアートスタイルで次週1月23日(日)の本番SAV(目の不自由な方と共に心の目でみる絵画鑑賞での対話)に備えての準備•共感編でした(初めての参加の方が5名。リピーターの方が2名。スタッフが3名の合計10名)。

当日、参加者の持ち込みアートデータ

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