イベント報告 歓びの瞬間は オンラインでも存在した 

───「どこからそう思ったか」

本番イベントで選ばれた絵画は第一印象はとても気にはなるが、ひとり鑑賞では選ばない強いインパクトの絵画ではないか。しかしこの絵を数人で鑑賞していくことになった。子どもなのに髭がある、手の細さ、脚の太さや不自然さ。身体の向きの不自然さや、どこに居るのか? など参加者があえて静寂の中でオンラインで絵画のまわりにメモをしていった。

他者のメモは自分も見ることができるオンライン・バーチャル環境。リアルな美術館ではありえない環境で皆の見た内容がメモをされていく。十数分たった時、一緒に鑑賞していた耳の不自由な方が“抱いている人形と子供は逆?”に描いてみたのではないかとメモをした。

私はといえば画家の想いは細部に宿るのではないか。何が美しいのかを感じ取ろううとしていた。“人形と子どもは逆?”かもしれないとメモを見た時に画家が大人になった時に亡くなった父親はいつも自分を守ってくれていたと回想した絵では無いかと想像できて腹おちした。

───「そこからどう思う」

この視座でこの“人形を抱く子ども”をみると人形を子供としてみる。人形を父親としてみる。人形を画家としてみる。という様々な視座を数分のあいだに得るコトができた。

父に守られて育った子供は、大きくなって画家になり、その父親への愛情を感謝を込めてこの絵に描きこんだのモノではないのだろうか。親のこころ子しらずで、大人になって悔悛した画家の懺悔の想いがこもった絵画かもしれない等々。

2020年5月30日(土)オンライン絵画鑑賞の可能性を探るメンバーでオンライン“筆談型”グループ絵画鑑賞の本番ラボに参加した。数回におよんだ事前準備の企画会議も楽しかった。色々な意見が出て多くの企画に発展していった。

アートの前では、そしてオンライン“筆談型”グループ絵画鑑賞では、耳が不自由な方も、健常者も平等。絵画をグループの視点、そして自分の視座を得て、自由な考え方で絵画を観ることができた。

───「何よりも嬉しいコト」

一緒に考えられる仲間が出来た。本番のファシテーターをかって出た Kさんは万感の想いをこめてこの絵を選んだのでしょう。最後のマトメの言葉のかわりに準備した詩人:工藤直子さんの「あいたくて」をプレゼントされたときに想いが爆発した感じがした。こんな十重二十重にうれしい歓喜の瞬間がおとずれるのでグループ絵画鑑賞の開発はやめられない。